札幌の花とカラーのサロン アトリエ FLORET R
フローラルカラーセラピスト森理恵です。
当ブログのご訪問ありがとうございます。

「どうして今の仕事を始めたのですか?」と続けて聞かれたことをきっかけに
30年近くの花生活を振り返り、今までの経緯をご紹介している『花との歩み』です。

ここのところ10日に1回の更新となっていますが、マイペースで続けようと思います。
どうぞ、ご一読下さい。

早いもので、これで【22】となりました。
これより前の投稿は、花との歩み ←こちらからご覧下さい。

前回【21】は、http://floret-r.com/2017/10/24/ayumi-21/ です。

初めての生け込み

「森さん、これに好きなお花を好きなように生けてごらん! 感性のままにね!」

北一硝子での初めての花仕事、
大先生に手渡されたガラスの小鉢を前に、顔が熱くなるのを感じました。

好きなように、感性のままに…つまり、自由に生けていいということなのですが、
何しろ経験値の少ない私は、ドキドキを隠せませんでした。

色とりどりのお花が入ったバケツから、お花を選ぼう…と思った次の瞬間、
大先生が赤いアルストロメリアを一輪、手ごろな長さに切って小鉢に入れてくれました。

 

いきなりのお題に私が困っていると思って(困っていたのですがw)選んでくれたのでしょう。
しかしながら、アルストロメリア…しかも赤…地味に結構苦手なタイプで、
より一層ハードルが高くなりました(汗)。
好きなお花って言ったのに~(笑)。


でも、もうやるしかありません!! 

基本の生け方は見せてもらっていたので、手順は分かっていました。
お花を3~4輪とカスミソウを組み合わせてデザインし、
ワイヤーで束ねて、ガラスのビー玉の花留めを使って固定するのです。

赤いアルストロメリアとカスミソウに何を合わせたかは忘れましたが、
その時の精いっぱいの気持ちで生けました。

そして、先生にお目通しをお願いしました。

何度体験しても、先生に見てもらう時にはドキドキするものです。

大先生は、じっと見てから口を開きました。

「うん。いいね!! ステキに入ってるよ!!」

そして、真剣な眼差しを私に向けると

「北一硝子で、何故お花を生けているか分かる?
それは勿論、お客様に喜んでもらうためだけれど、それだけじゃダメなのよ。
この作品を見て、ステキ! 私もこんな風に生けてみよう! そう思わせることが大事なの。
お客様に、このガラスの器が欲しいと思ってもらわなくちゃならないのよ。

そのために必要なことは、客観性。
いくら自分がステキだと思っても、それが本当にステキだとしても、
お客様が自分にも出来る!と思えないと意味が無いの。

ガラスの器、特に食器は、清潔感を感じさせることが大切。
だから、ここを少しだけ減らして、軽くした方がいいわ!」

そう言われると、カスミソウの花をほんの少しだけ切りました。

すると、足元の水とビー玉が見えて、スッキリとした印象になりました。

この僅かな違いが、劇的な変化をもたらすことに驚き、
大先生の神業、ゴッドハンドに敬服の念を抱かずにはいられませんでした。


そして、北一硝子で初めて生けたお花が、店先に飾られるのを見て
長年、アレンジメントを習いたい!と思ってきた思い、お花が仕事になったことへの驚きを感じ
感慨深く思ったものです。

しかし、花修行(花仕事)は始まったばかりでした。

つづく。

 

花との歩み23 師匠語録①